どうにか言い訳をしたいけど、上手い言葉が見つからない。
「えっと…はい。伊江宗さんと、話していました」
どう言ったって話していたのは事実なのだから、結局、私は悪足掻きせず素直に認めることにした。
「あっ、でも!本当に少し話をしていただけなんです。眠れなくて、外に出て月を見ていたら伊江宗さんも月を見ていて、それで…」
「良かったの」
「えっ?」
誤解だけはされないように必死に説明していると、佐江宗さんが思いがけない言葉を口にして、驚いた私は佐江宗さんの顔を見る。
佐江宗さんは普段通り、穏やかに微笑んでいた。
「仲直りしたのじゃな。良かった良かった」
「えっ……」
「さて、支度をしなさい。未来への帰路を探しに行こう。それを言いに来たのじゃ」
佐江宗さんはすっと立ち上がってそう言うと、またにっこりと微笑んだ。
どうやら、怒ったり失望したりしたわけではないらしい。


