やはり、いつも通りの朝の光景だった。
いつも通り、冷たくピンと糸を張ったような空気の上に重い何かが乗っている雰囲気が部屋中に漂っている。
よくよく見てみると、昨日の夜までは綺麗だったクッションに、引きちぎって出来たであろう大きい歪な穴が空いていた。
昨夜の喧嘩は、いつもより少し白熱したようだ。
お母さんとお父さんが喧嘩以外で目を合わして会話をしている所を、もう何年見ていないだろうか。
私はどうもこういう空気の中に長居するのは苦手で、さっさと朝食を食べ終えて、リビングから逃げた。
冷めきった家庭の空気にそっとふたをして、そそくさと準備だけを事務的に進めていく。
どこかに小さな穴が空いているのか、心はほんの少し満たされていなくて、チクッと痛んでいるのも、毎朝のことだった。
変なことを考えるのはよそう。
そう思って、私は感情を無にして学校へ向かった。