ーーピピピピッ、ピピピピッ
「んん……」
目を閉じたまま私は手探りで目覚ましを探し、音を止めると、すぐ掛け布団を被り直して寝返りを打った。
「……ん?」
その感覚の異常さに気づいたのは、寝返りを打ってすぐだった。
いや、正確には、異常ではない。
だって、無機質な目覚ましの音やこのふかふかなベッド、ゆったりとしたパジャマの感触。
全て、いつもと変わらない朝だった。
だけど、ついさっきまでの私を考えると、それは異常さだった。
不思議に思って目を開けると、見慣れた自分の部屋の天井が見えた。
「あれ……佐江宗さんたちは…?」
昨晩、隣で寝ていた佐江宗さんがいないことに一瞬焦りを覚えるが、すぐに、
「…ああ、夢か」
さっきまで見ていたものが幻だったと気づいた。
私はゆっくりと起き上がると、カーテンを開けた。
「雨……」