「うっ、ああ………」
そんな声が聞こえて、ぎゅっと閉じていた目を恐る恐る開けると、
「……えっ」
そこに見えたのは、さっきまで私に振りかざしていた剣を地面に落し、だらんと崩れ落ちた男と、その後ろに立っていた、黒髪の似合う男だった。
「……大丈夫か」
その男は低い、だけど綺麗な声でそう呟いた。
「あっ、えっと……はい」
「…そうか。ここは危ない。逃げろ」
「はい……」
息をのむ。
それは恐いからとかではなくて。
そんなのじゃなくて。
この世の綺麗なものを全て集めて作り上げたかのように、とても端正な顔立ちだったから。
彼は私の声を聞くと、踵を返して戦場に戻ろうとする。
どこに行けばいいのか分からないけれど、私も言われた通り動こうとする。
……しかし。
「……きゃっ」
さっき転げ落ちた時に挫いたのか、足の痛みで転んでしまった。


