その手の感覚は、やっぱり昼間羽織を掛けてくれた時と同じで、佐江宗さんだ佐江宗さんだなんて言っておきながら、やっぱりあの時助けてくれた人が伊江宗さんだったことを強く実感した。
「いや、悪いですから…」
「良いから。風邪でも引かれたら困る」
「でも…」
「儂は寒くなどな……くしゅんっ」
伊江宗さんのくしゃみを見て、私は、「ふっ」と笑みを吹き出した。
伊江宗さんはそんな私を不服そうな顔で見たが、その表情にちょっと恥ずかしさも垣間見えて、ますます笑いが込み上げてくる。
「ふふふふっ」
「笑うな。今のは、寒かったからではなくてだな…」
「嘘、吐かなくていいですよ。半分こ、しましょう」
私はそう言って羽織を半分伊江宗さんの肩に掛けた。
いくら男物でも、二人で羽織るには少し小さくて、右肩がくっつく。
じんわり伝わってくる伊江宗さんの体温に、ほんの少しドキドキする。


