「さあ、七瀬。好きな着物をお選び。儂は外で着替え終わるのを待っておるな」
佐江宗さんがそう言って部屋から出ていくと、三人の女の人がキラキラと楽しそうな、でもどこか獲物を捕らえた虎のようにギラギラした目で私に顔をぐっと近づけて、
「七瀬様!聞きましたよ!ご子息である佐江宗さんと伊江宗さん、お二人と契りを結ばれたとか!」
「一体どこのお姫様なのです!?」
「どちらをお選びなるのか、もうお決めになっておられるのですか!?」
「え、あ、えっと……」
その勢いに押され、体を少し引く。
佐江宗さんが伝えたのだろうか。
それとも噂でも流れたのだろうか。
噂なのだとしたら早すぎじゃない?
「「どうなさるのですか、姫君!」」
「ひ、姫君……」
私はどんどん迫ってくる三人に圧倒されながらも、顔の前に両手を出し、「ま、待ってください!」と、倒れるギリギリのところでその動きを止めた。


