another world〜夢の中だけで逢う君との恋戦国〜






「七瀬、その身なりだと過ごしにくいだろう。すぐに着物を用意させるから、少々ここで待っていてくれ」

包帯を巻き終わった佐江宗さんは、そう私に言うと部屋から出て行った。



また一人になった私は、また部屋を見回す。


冷静に考えるとタイムスリップなんておかしな話だけど、冷静に考えると、こんな立派なセットを用意してこんな凝った演技で騙されるくらい、私は有名人でもなければ人気者でもない。

だから、私はきっと、本当に戦国時代にタイムスリップしてしまったのだろう。


そして私は、この美男二人と結婚しなければならない。


ここまで変わったことが重なると、もう驚きも混乱もせず、静かにこの状況を受け入れてしまう。






しばらく待っていると、佐江宗さんと召使いと思われる女性三人が部屋に入ってきた。

私の顔を見て一礼した女性たちの手には、いくつかの着物があった。
私も軽く頭を下げる。