私は言葉が詰まって黙り込んでしまった。
それは現実問題とても困る。
でも、結婚なんてしたくない。
「……これで解決じゃ。もちろん、異論はないな?」
「………。」
二人にとってはお父さんだけど、お殿様でもある。
だからか、誰も反論ができず、お父さんの独断で、私は二人と結婚することになってしまった。
「しかし、跡取りの二人が一人のおなごと祝言を挙げるとは、一応体裁が良くない。だから、子どもが腹の中にいると分かるまで、このことは秘密にするのだぞ」
「……承知致しました。お父上。」
佐江宗さんが頭を下げる。
伊江宗さんも無言で頭を下げた。
どうしよう…。
どうしたらいい?
「……では」
お父さんが部屋から出ていき、部屋は三人だけになった。
「……馬鹿馬鹿しい」
伊江宗さんがやっと口を開いたかと思うと、そう言って面倒臭そうに立ち上がった。


