another world〜夢の中だけで逢う君との恋戦国〜




「待って下され、お父上。二人共ととは、如何なものかと思いまする」

「しかしな、佐江宗。儂ももう年じゃ。お主らのどちらかに松士の家を継いでもらわねばならぬ。お主らは双子だから、長男もあってないようなものじゃ」

「しかしながら、それとこれとは話が…!」

「ここはどうだろう?一人のおなごを二人で取り合い、先に跡取りを産ませた方を次の跡取りにするのじゃ。名案じゃろ?」

「ま、待って下さい!お殿様!普通、そういうのって他の武士のお姫様とかとするもんだろうし、第一、私、子どもを産むつもりなんてありませんから!」


私は身を前に乗り出してお父さんに反論する。

武士の普通なんて知らないけど、時代劇ではそれが普通だったし、歴史的にもそれが普通なはずだ。
私も、結婚なんて嫌だし。



「では、お主にはこの屋城から出ていってもらわねばならぬが、良いか?」

「そ、それは……」