伊江宗さんが前向いたまま、不服そうな顔でそう反論する。
私はふふっと笑った。
「…さて、お嬢さん。未来から来たようだが、これからどうするのだ?」
さっきまで楽しそうに笑っていたお父さんが、姿勢を正し、真剣な顔でそう問うてきた。
私も姿勢を正し、少し俯く。
「未来に、帰りたいです…」
「帰り方は知っているのか?」
「いえ、知りません…」
「では、帰るまではどうするのだ?行く当てはあるのか?」
「ないです……」
嘘みたいな現実でこんなことを言うのはおかしいけど、現実を突きつけられた気分で、自然と視線が下に下にいく。
「お父上、この屋城においてはあげられませぬか?」
佐江宗さんがそう提案してくれる。
「しかしなあ、どこの者かも分からぬ者を、屋城においてはおけぬのだ」
そりゃそうだ。
私もここに住むつもりなんて毛頭ない。
ただ、この先どうしていけばいいのか、全く分からない。


