教室に戻ると美保に質問攻めされて大変だった。
興奮状態の美保を中庭に連れ出して、わたしはお弁当、美保は購買で買ったパンを頬張る。
「高瀬くんといけないことしてるのかと思ったよ〜!」
「い、いけないこと……!?」
「イチャイチャとかね」
「ひ〜、やめてっ!」
「でもさ、環に対しては誠実じゃない? 高瀬くんって、あんまり人に連絡先教えたりしないらしいよ。チャラそうに見えるけど、女子とふたりで遊んだりもしないみたいだし」
「えー、うそだぁ」
「ほんとほんと。前に高瀬くんと遊んでた子が言ってたもん」
「ふーん……」
高瀬のことはどうでもいいし、そんな話聞きたくない。
チクンと、胸のどこかが痛むから。
教室に戻る途中でグラウンドの前を横切ると、何人かの男子がサッカーをしている姿があった。
あ、西河もいる……。
遠くからだけどはっきりわかった。
思わず足が止まって釘付けになる。
無邪気に笑って楽しそう。
「ねぇ、もしかしたらと思ってたけど、環って好きな人いる?」
わたしの視線に気づいたのか、美保が遠慮がちに聞いてきた。



