「たまちゃんもパン食べる? あと残ってるのは、クリームパンとマシュマロパンと野菜サンドとイチゴベリーパンとチョコレートホイップパンだよ。どれがいい?」
「いえ、大丈夫。っていうか、それ全部食べるの?」
「うん、もちろん」
す、すごい。聞いただけで胸焼けする。まともなパン、ほとんどなくない?
かなりの甘党だな。
あんパンの次にクリームパンを頬張る高瀬を横目に、ランチバッグをギュッと握る。
「俺って、たまちゃんに嫌われてるよね?」
マシュマロパンをモグモグ頬張りながら、いちいち聞かなくてもわかることをたずねてくる高瀬は、いったいどういうつもりなんだろう。
いや、なにも考えてないのかも。
高瀬だしね。
「たまちゃんって呼ばないで」
「え、やだよ。俺の中ではもうたまちゃんだから」
「…………」
「ねぇたまちゃん」
「だから、たまちゃんって呼ばない──」
そう言いかけたとき、すぐ近くに影が落ちてきた。
高瀬はわたしの前にしゃがむと、手を握ってさらに目を細める。
あっという間に高瀬の雰囲気にのまれて、なんだか落ち着かなくなった。
かわいい顔をしていても、近くで見るとやっぱり男子だ。
ムダに整った顔に、恋愛感情なんて微塵もないのにドキッとさせられる。
嫌だ、こんな自分が。
「俺が慰めてあげよっか?」