教室に戻るとすでに帰り支度を終えた高瀬がいた。

「ごめんね、お待たせ!」

「ん」

短く返事をしてスタスタ歩き出す高瀬のあとを追う。

隣に並んで顔を見上げても、前を向いたままこっちに視線もくれない。

朝からずっと素っ気ないんだけど、なにかあったのかな?

あ、勉強疲れ?

それか、なかなか成果が上がらないわたしに呆れてる?

昨日も遅くまでがんばったし、今がテスト前で一番勉強してるんだけどな。

よし、今日はそれ以上にがんばろう。

学校から徒歩で十分ぐらいの分譲マンションは、広くも狭くもない3LDKの造りで、ちゃんと自分の部屋もある。

昨日大急ぎで掃除したから、見れるほどにはきれい。

高瀬の部屋と比べたらかなり狭いけど、好きなものばかりであふれる空間がお気に入り。

「うわ、乙女……」

「えへへ、かわいいでしょ?」

ピンクが大好きなわたしは色んなものをパステルカラーの淡いピンクで統一している。

ベッドカバーもカーテンも、ラグマットもクッションも。全部ピンク。