「聞いてる?」
「う、ん……」
緊張しちゃって声がかすれた。
「嫉妬、してたんだ?」
こんなとき、素直に『そうだよ』って言える女の子だったら……。
『嫌だった』って甘えられる女の子だったら、ちょっとはかわいいと思ってもらえたかもしれない。
「ねぇ」
耳をつんざく甘い声。
「ほんとに聞いてる?」
小さくコクコク頷く。
ギュッとギューッと、これでもかってほど密着されて心拍数は上がっていくばかり。
「好きだよ」
甘い声がよりいっそう甘くなって、わたしの耳に届いた。
同時に全身に衝撃が襲う。
好き……?
え……?
え?
高瀬が、わたしを?
うそ……。
あ。
好きって、あれだ。
友達として、的な?
ドキンドキンと鼓動が跳ねて、頬がじんわり熱くなっていく。
「もうさ、マジでたまちゃんしか見えない」
「……っ」
「ほんと大好き」
その声がとてつもなく胸をときめかせる。
やっぱりそういう方の好き……?
「もうさ、全部がかわいくてたまんない」
耳元で囁かれて、わざとなのかフーッと息を吹きかけられた。
「ひゃあ……!」
「な、なにすんの……っ!」
耳を噛むなんて、信じられない。
「余裕なんてなくなるくらい、俺しか見えなくなればいい」
甘いセリフで惑わせて、溶かして、揺さぶって。
完全に高瀬の虜。
「たまちゃんも嫉妬してたってことはさ」
──ドキンドキン
もうやだ、心臓の音が聞こえちゃいそう。
「俺のこと、好きなの?」



