「…………」
「まぁ、でもたまちゃんは優しいもんね? 慈悲深いもんね?」
「べべ、べつにそこまでじゃ……」
「はぁ……」
不機嫌そうだったかと思えば今度はため息。
「きみはふわふわしてるから、フラーッとどこかに行っちゃわないかめちゃくちゃ心配なわけですよ」
「……っ」
もはや、なにを言われてるか理解不能。
「高瀬だって……真理ちゃんとクリスマス過ごすんでしょ?」
「クリスマス……?」
しらばっくれるのはやめてよ。
「あれ? もしかして昨日のこと気にしてたの?」
「……っ」
イジワルな声に、素直に頷くことができない。
わかってるくせに、たちが悪いよ。
「ねぇ」
さっきまでとはちがう色気を含んだ声に、背中がゾクゾクした。
「それってたまちゃんも俺に嫉妬してたってこと?」
耳元でクスッと笑われたら、もうアウト。



