「はぁ……そっか」
高瀬は大きく息を吐いて、後ろからわたしを抱きしめたままの格好で手を握ってきた。
ギュッとされてドキッとして、指を絡め取られてまたドキッとして。
それが心地よく感じるほど高瀬の温もりに慣れてしまったなんて。
「たまちゃんにはちゃんと言わなきゃわかんないか」
「な、なに? はっきり言ってよ」
「ムカつくんだよ。嫉妬してんの。俺のたまちゃんに触りやがって、ってね」
「へっ……!?」
嫉妬?
俺の、たまちゃん……。
『俺の』
高瀬の声が頭の中に反芻する。
ドキン、熱を思い出したかのように鼓動が跳ねた。
「それなのにたまちゃんはあっさりあいつを許してるし、お詫びに飲み物奢ってもらった? ふざけんなって感じ」
う、トゲトゲしい口調に戻っちゃった……。
高瀬って案外わかりやすい……?
「俺は今でも殴り倒したいくらい憎いよ、あいつのこと。顔見るだけでイライラする」



