怒ってる?ってなに。
いちいち確認しなきゃわからないの?
当然ですけど?
王子様キャラだと思ってたのに、全然そんなんじゃない。
頭のネジがゆるゆるなんじゃないの?
それに、下の名前……。
「高瀬に『たまちゃん』って呼ばれる筋合いはないよ」
「いいじゃん、だってたまちゃんだし。ね?」
なに考えてんの、まったく。
なんだかまともに相手をするのが疲れる。
こんな人だったなんて思わなかった。
ポワンと和むような雰囲気とこのゆるさを目の当たりにしたら、本気で怒って傷ついていた自分がバカみたい。
昨日のキスなんて、高瀬はなんとも思ってないよね。
きっと誰にでもしてるんだ。
それくらい慣れている感じだった。
面白いからってわたしをからかって、『つい』でキスまでしちゃうような人。
ニコニコしてる高瀬は、わたしが傷ついてるなんてきっと思っていないはず。
それが一番腹立たしい。
小テストの結果は、授業中ほとんど寝てるくせに高瀬は満点。
ぐぬっ、学年トップめ……。
「はい、テスト用紙。たまちゃん、半分以上まちがってたよ」
「…………」
返事をせず手だけ伸ばしてテスト用紙を交換した。
「機嫌直してよ、たまちゃん」
「…………」
だって、ファーストキスだったんだ。



