学校に着くと高瀬の姿がないかってキョロキョロしちゃって落ち着かない。

スニーカーを履き替えて歩き出すと、どこかからいつもの香りがした。

──ドキン

やだやだ、香りだけでこんなにも心臓が飛び跳ねるなんて。

どれだけ高瀬のこと意識してるの、わたし。

「高瀬く〜ん! おはよ〜!」

前を歩いていたらしい高瀬の後ろから、女の子が駆け寄っていくのが見えた。

スタイルがよくてきれいな子。

たしか、前に高瀬に告白してた。

真理ちゃん、だったかな。

それを見てズキンと胸が痛む。

「おはよ」

気だるげな高瀬の声がして、真理ちゃんはそんな高瀬に向かって顔を赤らめてる。

まだ高瀬のことが好きなんだ……?

高瀬は人気者だから色んな女子に告白されてる。

かわいい子やきれいな子、スタイルがよくて女子力高めな子。

そんな子と比べたら、わたしって……。

ああ、ダメだ。

人と比べることじゃないけど、周りの女子たちのレベルが高すぎてわたしじゃ高瀬に釣り合わないよね。

なんて、モヤモヤ。

そんなにゆっくり歩かれたら、すぐに追い越してしまいそう。