ほんとにギュッとしてほしいわけじゃなくて、わたしの反応を見て楽しんでる。
えーい、それならわたしだって。
やるときはやるんだから。
──ギュッ
高瀬の背中に手を回して抱きついた。
きつくギュッとすると、意外と筋肉質な高瀬の胸板が頬に当たる。
は、恥ずかしい……。
「た、たま、ちゃん」
「……あったかい?」
「え?」
「あったまった?」
「あー……うん」
歯切れの悪い返事。
急に大人しくなった高瀬は、なぜか微動だにせず固まっている。
どうしたんだろ?
少しだけ体を離して顔を見上げる。
茹でダコみたいな高瀬の顔に目を見開く。
照れて、る?
うそうそ。
あの高瀬が……?
「そ、そんなに見んな」
「え? だって真っ赤だから」
「そりゃ赤くもなるだろ」
「どうして?」
ものすごく余裕がなさそうな高瀬は、うっと言葉に詰まっている。
視線をあちこちに巡らせながら、どこか切羽詰まったような表情。



