高瀬は親切に鼻血を止めてくれてるだけ。

鼻血を止めてくれてるだけ……。

そっと見上げた高瀬の顔に、なんでか胸の高鳴りが収まらない。

改めて見なくても、カッコいいよね。

「なに? 俺相手に緊張してるの?」

フイッと目をそらしたらクスクス笑われて、恥ずかしさでいっぱいになっていく。

余裕があって大人な高瀬と、この状況にあたふたしてるわたし。

触れてるところが熱いのは、気のせいなんかじゃなくて高瀬だから。

わずかに空いてたスペースがなくなって、高瀬の体が密着した。

「な、なにするの」

「たまちゃんが潤んだ目で見るから、くっつきたいのかなと思って」

「……っ」

「保健室ってさ、いけないことしたくならない?」

耳元で甘く囁かれた声に体がビクッと反応する。

いつの日か高瀬に押し倒されたときの光景が蘇って、尋常じゃないほど顔が火照った。

だ、ダメ、落ち着けわたし。

「そ、そんな目で見てないし、ならないから」

「そ? 俺はなるよ。保健室に限らず、たまちゃんといたらどこでだって」

ドキドキさせるポイントをつかんでる高瀬に翻弄されてばかり。

容易いな、わたし。