はぁはぁと息を切らした高瀬が走ってきて、ごく自然にわたしの隣に並んだ。

「い、いいよ、ひとりで行けるから」

「だめ。俺がぶつけたんだから、責任は俺にあるの」

「高瀬が……?」

そっか、ボール飛ばしてきたのは高瀬だったんだ。

「ほんとごめんね」

シュンと肩を落として謝る高瀬に笑ってみせる。

「わざとじゃないんだから、いいよ」

「顔もジャージも血まみれだね……痛い?」

「洗えば落ちるよ、痛みもちょっとマシかな」

「ほんとごめん」

保健室に着いたけれど、先生不在の札がかかっていた。

鍵がかかっているかと思いきや、高瀬はドアを開けて保健室の中へ。

「たまちゃんも早く」

「う、うん……」

やだ、なんだか恥ずかしい。

高瀬とふたりきりだなんて。

「うぷっ」

「じっとして」

丸椅子に座らされたあと、鼻にティッシュを当てられた。

「じ、自分で押さえるよ」

「だめ。心配だから俺にさせて?」

ぐっ、ぬぬ。

そんな目で訴えられたら、頷かないわけにはいかない。

鼻血を止めるために触れてる高瀬の指先が、とても心地いい。

「そんなにうつむいたら止まらないよ。上向いて俺の目を見て」

「……っ」

「早く」