「たーまちゃん」

通学路でたまたま見かけた後ろ姿。

横から顔を覗き込むようにして声をかけると、華奢な肩先がビクッと揺れた。

クリクリおめめがジロリ、こちらを向く。

「おはよ」

一瞬だけ目が合ったけど、すぐさまパッとそらされた。

視線をさまよわせながら、唇に力を入れて強がってる。

たまちゃんは明らかに俺のことを意識してるってバレバレだ。

「つ、ついてこないでよ」

ふわふわした白いマフラーに首と顎先をうずめて、ほんのりピンク色の頬を膨らませながら唇を尖らせるたまちゃん。

なにその顔。

スネてんのかな。

もっと見てみたいっていう好奇心がまた、そそられる。

「あ、あんな大胆なことしておいて、よく平気でいられるね」

「大胆なこと? なんかしたっけ?」

わざとらしく微笑んで一歩距離を詰めれば、たまちゃんはまた俺の存在を意識して、今度は全身がビクンッと反応する。