部活へ向かう西河を見送ったあと、しばらく悩んで踵を返す。

向かうは穂波の教室だ。

このままじゃダメだと思って、向き合う覚悟を決める。

わたしも前に進まなきゃ。

だけどやっぱり不安が拭えないのも事実。

考えだってまとまっていないのに、ちゃんと話せるのかな。

バクバクと変に高鳴る鼓動。

西河は穂波を弱いと言った。

だけどわたしはそうは思わない。

穂波はいつだってキラキラまぶしくて、みんなの憧れの存在だったから。

初めての勢いで訪れたひとつ上の階まで辿り着き、穂波の教室がある三組を目指す。

だけど、途中で自然と足が止まった。

廊下の窓からぼうっと外を眺める穂波の姿を見つけたからだ。

「穂波……」

思わず声が漏れたと同時に、穂波がわたしを振り返った。

大きく見開かれるまん丸い瞳。

その目は心なしか真っ赤に充血している。

「ほんっと、うざすぎー!」

「教室でもずっとイチャイチャしちゃってさ!」