突然のシャッターの音が空気を切り裂く。
振り向いてみると、
青年が黒いカメラを手に、レンズ越しにこちらを覗いて、また、シャッターを切る。

──────────カシャカシャ

長細い指がシャッターのボタンを押す度
機械的な音が響いては風に掻き消されていく
慣れない感覚にとまどいながらも
何気なしに笑って見せる。

──────────カシャ

その瞬間を待っていたかのように
シャッターの音が鳴り、
気が済んだのか漸く生年は顔を上げた。