「美蓮っっ」

傍にいた真昼が駆け寄ってきて、
濡らしたハンカチで私の頬を拭ってくれた。

「痛い」
「当然でしょ!なんでこんな無茶をしたの!」

心の底から心配してくれているのだろう、
涙目になりながら声を荒らげた真昼に
"大丈夫だよ"と微笑みかける。

「悔しかったの。だって春は春でしょ。
可哀想な人なんかじゃないし、
そう思って近づいてくる人に、ろくな人居ないし......」