からふる。~第27話~

ふわぁ...。


大きな欠伸が出た。


いつもと同じ4時から活動開始。


食堂の暖房を入れ、キッチンには電気ヒーターを準備してきた。


階段は極寒でセーターだけでは寒すぎるから、もこもこの上着を羽織り、カイロをお腹と背中に着けている。


これからますます寒くなるだろうに、12月の時点でこの状況はまずい気がする。


かじかむ手を必死にふぅふぅしながら少しずつ掃いていると、足音が聞こえてきた。


トン...トトン...トントン...トタン...。


この不規則なリズムを奏でるのは彼しかいない。



「黒羽くんおはよう」


「よっ」


「最近はずっと冬眠中だったみたいだけど、穴から出てきたの?」


「穴っておれは熊じゃねえよ。おれをバカにすんな。ちょっと疲れてただけだ。それより、階段はおれが全部やるからさあやは避難してろ」



もしかしてここ数日の名誉挽回のつもり?


そんなことしなくたって色々事情があるのは知ってるから気にしなくていいのに。



「私の仕事だから大丈夫。黒羽くんはいつもと同じく雑巾お願いします」



そう言って私はホウキを動かし始めた。


しかし...。



「お願いされたくねえ」


「えっ?」