と、私が迷っていると黒羽くんが手をパンと叩いた。
「よし、映画はナシだ。ショッピングに切り替えよう」
「えっ?」
「さあやの冬服不足が深刻なのは知ってるんだ。毎日セーターにジーパンじゃせっかくの美貌が台無しだ」
び、び、美貌って...。
私、そんな美人じゃないんだけど。
「おれさ、密かにバイトしてんだよ。だから金はある。心配するな」
「バイト?!」
「何驚いてんだよ。金がないなら働くのがこの世の中だろうが」
「それはそうだけど、貴重なお金を私に投資しなくていいよ。私に投資するくらいなら、桃さんに色んなもの買ってあげなよ」
「わかんねえやつだなぁ」
黒羽くんが私の頭に手を乗せる。
一瞬とくんと胸が跳ねて目を泳がせてしまう。
「さあやはおれにとって自分の命より大事なやつなんだ。唯一無二の大親友だからな」
大親友が自分の命より大事?
そんなわけない。
だいたいにおいてカノジョの方が大事に決まってる。
「桃さんはカノジョだから私より大事だよね?なら、私なんて...」
「どっちが上か下かなんて、そんなのねえよ。おれはどっちも大事だ。黒羽玲央という人間が成り立つ上で大事なもんは大事なんだ。優劣なんてねえ。つべこべ言ってないでいくぞ!」
「ちょ、ちょっと...!」
黒羽くんに手を引かれるまま私は駆け出した。
計画性のないその言動に振り回されっぱなしだけど...。
だけどね、なぜだろう。
その背中を追いかけている私は笑ってるんだ。
その理由はまだ分からない。
今はただ追いかけるだけ。
続く...
「よし、映画はナシだ。ショッピングに切り替えよう」
「えっ?」
「さあやの冬服不足が深刻なのは知ってるんだ。毎日セーターにジーパンじゃせっかくの美貌が台無しだ」
び、び、美貌って...。
私、そんな美人じゃないんだけど。
「おれさ、密かにバイトしてんだよ。だから金はある。心配するな」
「バイト?!」
「何驚いてんだよ。金がないなら働くのがこの世の中だろうが」
「それはそうだけど、貴重なお金を私に投資しなくていいよ。私に投資するくらいなら、桃さんに色んなもの買ってあげなよ」
「わかんねえやつだなぁ」
黒羽くんが私の頭に手を乗せる。
一瞬とくんと胸が跳ねて目を泳がせてしまう。
「さあやはおれにとって自分の命より大事なやつなんだ。唯一無二の大親友だからな」
大親友が自分の命より大事?
そんなわけない。
だいたいにおいてカノジョの方が大事に決まってる。
「桃さんはカノジョだから私より大事だよね?なら、私なんて...」
「どっちが上か下かなんて、そんなのねえよ。おれはどっちも大事だ。黒羽玲央という人間が成り立つ上で大事なもんは大事なんだ。優劣なんてねえ。つべこべ言ってないでいくぞ!」
「ちょ、ちょっと...!」
黒羽くんに手を引かれるまま私は駆け出した。
計画性のないその言動に振り回されっぱなしだけど...。
だけどね、なぜだろう。
その背中を追いかけている私は笑ってるんだ。
その理由はまだ分からない。
今はただ追いかけるだけ。
続く...



