「……それで、別の人に頼もうかって話になったけど、私の入ってる剣道のチームには、大会に出れそうなほど強い人が居なくて……それで」

そこまで聞いて、私は嫌な予感がした。

「今回の大会、私の代わりに初夏が出て!」

真剣な顔で、真夏は私を見る。もし、私が部活中に倒れなかったら、私はすぐに頷いていたかもしれない。でも……。

「真夏、私はてんかんを持ってるんだよ?今の職場は、てんかんに理解があるから、最初はゆっくりとしてくれたけどさ……」

そう。私はてんかんを持ってて、数年経った今でも、薬は飲み続けてる。

私が初めて発作で倒れたのは、高校2年生の部活中だった。私と真夏は、中学も高校も剣道部に入ってた。

そんなある日、急に目の前が真っ暗になって……目を覚ましたすぐは、ここがどこなのかも、自分が何でこんな場所にいるのかも分からなくて、脳が麻痺してる状態だったんだ。

その後、保健室の先生に総合病院に連れられて、検査の結果、てんかんと判明した。先生曰く、寝不足や過労などでも、発作が起こってしまうことがあるらしい。

「……分かってる。ちゃんとリーダーには言うから」

「それに……真夏は知ってるんでしょ?私が、剣道を諦めた理由を!」