自販機で買ったブラックコーヒーを口に流し込みながら、何とか弁当を食べ終えて、私はスマホの電源を入れた。

真夏からのラインが届いてたから、私はラインを開く。

『どう?私の手作り弁当!美味しいでしょ!』

『卵焼き、甘すぎだからっ!後、ウインナー焼きすぎだから!』

とりあえずそう返して、私はスマホの電源を切った。



「北山さ~ん!今からお風呂!」

「川田さん!おやつ食べる前に、お風呂行きましょか」

私はお風呂に入る人に、次々に声をかけていく。ある程度呼び掛けたら、脱衣場で着脱介助をする。

……あ、竹野さん……中介なんだ。

竹野さんは、北山さんを連れて浴室へと入っていった。

脱衣場でしばらく待っていると、車イスの川田さんとシルバーカーの岡本さんが出てきた。

竹野さんが川田さんの着脱介助を、私は岡本さんの着脱介助をする。

「岡本さん、立ったらダメですよ。車、今から持ってきますね」

岡本さんにそう言って、私は岡本さんのシルバーカーを取りに行こうとした。

だけど、竹野さんは、入口を塞ぐかのように川田さんの車イスを持って、立ち止まってたんだ。竹野さんは、私を見てニコニコと笑ってる。それに、私はイラッと来た。

……3階の職員さんが、竹野さんを嫌がってる理由、何となく分かった。

「……」

無言でじっと竹野さんを見ると、竹野さんはスッと退いてくれて、私はシルバーカーの置いてある場所へと向かう。