ワンコールで、貴方は出た。

あまりの早さにびっくりしていると、貴方の声が聞こえた。


「タイミング悪いなー、今から勉強しようとしてたのに。
琴乃から電話かかってきちゃったからもうやーらない。」

何も変わっていない砕けた口調に、少し緊張が和らいだ。
私がクスッと笑うと、貴方も少し笑って、

「久しぶり。」

優しい口調で、そう言った。

懐かしさに溺れそうだ。



「久しぶり。お誕生日おめでとう。」

「ありがとう。琴乃に祝ってもらえるなんて幸せな誕生日だよ。」


…またそんなこと言って。
いつもそう。貴方は優しい。


だから貴方をどう見たらいいのか、わからなくなる。