「この前、入院した203の華菜ちゃんっていう子、少し気になるから声を掛けてみてほしいんだけど」
そう伝えられた。
「分かりました、具体的にどのような様子でしたか?」
私は、そう聞きながらポケットからメモ帳を取り出す。
「警戒されているのか、あまり思ったことを言ってくれなくてね…入院してから数日たってるんだけどダメでね…高校生なんだけど大丈夫?」
「なるほど。分かりました、大丈夫です。今日中に行ってみますね」
私はメモを取りながら了承する。
小児クラークとしても働いている私には医者からよく頼まれることだ。
「よろしく。何かあったら報告お願い」
「はい」
そう会話をして、お互い自分の持ち場である場所へと向かった。
受付に着くと、さっそく未生に声を掛けられる。
「三科先生と何話してたの~?」
「別に何も。この前入院した児の様子見に行くの頼まれただけよ」
そう言って、PCで今日の予定の確認をする。
「なんだ~、つまらないの」
後ろでは未生が唇を尖らせているであろう声色で呟いていた。
