「A君が、お兄ちゃんの悪口言ってた。」


そう言って妹は帰ってきた。


「また何したんだ。」


汚れて帰ってきた妹に、冷たくそう言ってしまった。


「お兄ちゃんを悪く言うなって、戦ったよ。」


お兄ちゃんの敵は私の 敵だもん。目の前の相手を殴るふりをしながら妹は言った。


「私、もっと強くなるんだ。」


ニコッと笑って妹は言う。


「私、お兄ちゃんを守ったよ。」


涙を流して妹は言った。


顔には、幾つもの傷がついていて、血が出ている模様。


「ありがとう。」


僕はそれだけ言って、妹の頬に手を添えた。


妹は泣いたまま、嬉しそうに笑った。


そんな妹が、僕は大好きだ。


いつも守ってくれてありがとう。


僕は、君に何も返してやれなかった。


でもそう言ったら、妹は「そんな事ないよ。」って、いつも通りに言ってくれる。


僕は後悔した。


けど、妹に負けないように、強くならなければいけない。


妹がどこかで見てるから。


僕は、弱音を吐かないように生きていかなければならないんだ。