たとえばあなたのその目やその手とか~不釣り合すぎる恋の行方~

家庭的な咲さんのお料理は本当にどれもおいしくて、三人でたくさん食べてしまった。

誠くんもすっかり彼に懐いて、夕食後も彼の膝の上で遊んでいる。

私はそんな二人の姿を見ながら食器を洗った。

普段ではあり得ない今の状況は、とても穏やかで、愛する人とその子供に囲まれて生活するのも悪くはないななんて……いやいや、何考えてるんだ私。

結婚なんて別にしたいとも思っていないし、何よりもまずは仕事を充実させることが一番なのに。

「そっちは終わったか?」

急に彼が私の方に顔を向けそんなこと言ったもんだから、思わず洗いかけの皿を落としそうになる。

「はい、もう終わります」

「誠がもう寝そうだ。部屋で寝かしてくる」

「お願いします」

彼は半分瞼を閉じている誠くんを抱き上げると、そのままベッドルームへ静かに向かった。

誠くんの手にはまだしっかりと仮面ライダーのベルトが握り締められている。

よかった。

誠くんは終始楽しそうに過ごしてくれた。

半分は誠くんの勇気、もう半分は彼の気の利いた対応かな。

結局私が言い出しっぺだったのに、何も役に立てず。私の突発的な言動にもう既に三度も彼に助けられていることに自己嫌悪だ。

時計を見ると、午後十時過ぎ。

咲さんはもう分娩室に入ったかな。元気な赤ちゃんが生まれますように。

洗いものが済んだので、ベッドルームに二人の様子をそっと見にいってみる。

部屋は真っ暗だったけれど、カーテンが引かれた窓の薄明かりがぼんやりとその部屋の輪郭を浮きあがらせていた。