たとえばあなたのその目やその手とか~不釣り合すぎる恋の行方~

「もし、よかったらこの家で誠くんを見ていましょうか?」

「え?」

咲さんの目がくりんと見開き、渡辺さんと顔を見合わせた。

「そんなこと、お願いしてもいいのかしら?」

ずっと泣きじゃくりながら咲さんのそばを離れない誠くんと目が合う。

「いやー!」

はは。そりゃそうだよね。

見ず知らずの人とお留守番だなんて。

渡辺さんは、急に真面目な顔をして誠くんの前にしゃがみ、そのか細い肩を抱きしめ言った。

「誠、お前はもうすぐお兄ちゃんだ。お母さんを病院に届けたらすぐに戻ってくる。それまでここにいる礼おじさんと都ちゃんとご飯を食べてお留守番できるな?誠ならきっとできるはずだ」

誠くんは時折しゃくりを上げながら真っ赤に泣きはらした目で、必死にその意味を理解しようとしているけれど……。

「できないー!」

「いや、できる」

「いやー」

「誠くん!」

その時、彼が日本酒の入っていた紙袋の中からオレンジのリボンのかけられた青い箱を取り出した。

「これ、渡すの忘れていたよ。誠くんへのプレゼント。日本で一番流行っている仮面ライダーのベルトだ」

その瞬間、誠くんの目がきらりと光り、その箱にくぎ付けになる。

「仮面ライダー?」

「ああ、そうだ。お父さんから誠くんが好きだって聞いていたから」

誠くんの涙がみるみる渇いていき、にんまりとした口元にかわいい歯が見えた。

恐るべし仮面ライダー。

「これで一緒に遊んでお父さんが帰ってくるの待っていないか?」

そう言った彼の目はこれまで見たことがないくらいに優しく微笑んでいた。

こんな優しい顔ができるんだ。不覚にもドキンと胸が震える自分に戸惑う。