たとえばあなたのその目やその手とか~不釣り合すぎる恋の行方~

「あら、都さんごめんなさいね。最近とりわけ人見知りがひどくて。もうすぐお兄ちゃんになることに緊張しているのかしら」

「私こそ気が付かなくてごめんなさい」

半分顔を出した誠くんに微笑むと、気を取り直して入れかけたサラダボウルの続きにとりかかった。

「それにしても礼さんが女性をここに連れてきたのは初めてなのよ。驚いたわ」

「そうなんですね。でも、先ほど社長が言われていたように大した関係ではないんです。実は昨日出会ったばかりというか」

「え?何それ?興味がわいちゃうわ」

丸い目をくりくりっとさせて咲さんは私の方に顔を向けた。

あー。彼には余計なこと言いやがってって言われそうだな。

と思いつつも、あまりに咲さんが聞きたがるので、手伝いながら簡単に今日までに経緯を話した。

「なんてドラマチックなの!それはきっと運命よ」

「運命って、そんないいものではないです。社長はかなり私の存在が迷惑そうですし。とりあえずこの一週間が終わったらばっさり切られる可能性も大有りなんですよ」

「そうかしら?昔から知ってるけれど、礼さんはあれでいてかなりクールで何よりも仕事優先だから、本当に無理な場合はこんなところにまで連れてこないタイプだと思うけれど」

「私が相当に強引だったからだと思います。社長にも言われましたが」

私はペロッと舌を出して笑った。

「礼さんは、見た目はモデルみたいに恰好いい上に不愛想だから、とっつきにくいタイプに見えるけれど、とても情の深い優しい人よ。そして、約束したことはどんなことがあったって守ってくれる人」

咲さんはお手製のローストビーフを切り分けながら静かにそう言った。

私には全くそんな人柄は見せていないけれど、長い付き合いの彼女の言葉は妙に真実味がある。

それに、渡辺さんと彼が二人で話している姿は見えない信頼関係がしっかり結ばれているような気がした。