ようやく初めて一つになった後、汗ばんだ私の前髪をかき上げた彼がそっと額にキスをする。

そして、手を繋いだままベッドの上に仰向けに横たわった。

「今更だが大丈夫だったか?」

私の方に視線を向けた彼が優しく言った。

「大丈夫です。それ以上にとても……」

「とても?」

枕に肩ひじを付いた彼が私の方に体を向ける。

「とても素敵でした。愛されるってことがこんなにも満ち足りた気持ちになるなんて初めて知りました」

「そうか」

そう言った彼が私の体を自分の胸に引き寄せる。

「もう一回してみる?」

「いや、決してそんな意味じゃ……」

顔がかーっと熱くなった私の唇を塞いだ彼はそのまま私の上に覆いかぶさった。

そして口元を緩めると私の耳元に顔を近づける。

「都は最高だよ。何度でも抱けるくらい魅力的だ」

そう言い終わると私の耳を軽く噛む。

「あ」

思わず漏れた声に反応するかのように、彼は再び私を甘く熱く抱いた。

いつまで続いても構わないと思うくらいに、彼のキスも手も声も全てが気持ちいい。

だけど。

一つだけ気がかりなことがあった。

渡辺さんの家で彼が寝ぼけて「行くな」と言ったその相手が誰かってこと。

そのことが聞けないまま、私は彼の愛撫に耐え切れなくなりその首にしがみついた。