蒼の、意地悪な顔が目に入って、
顔をフイッと逸らした。
「……蒼は、こんなの慣れてて平気かもしれないけど、
……私は、平気じゃないよ…」
ずっと。
小さい頃からずっと好きだった人。
嫌いだって思ってても、触れられるだけでドキドキしてしまう。
頭ではそう考えてても、本当に嫌いになるって、難しいんだよ…。
「……柚」
「え……ん…っ」
さっき手で触れていた心臓の辺りに、蒼の唇があたって。
そのあと、一瞬ピリッとした痛みが走った。
「……あ、お…」
「……俺だって、平気じゃねーよ」
蒼がボソッと何か呟くと、私の体を起こしてくれて。
蒼が、着ていたパーカーを脱いで私に羽織らせて、
ファスナーを上まで一気に上げた。



