ゆっくり歩いていると、
突然持っていた荷物を取り上げられた。
「…!」
「歩くの遅い。
荷物重いなら持ってやる」
前を歩いていたはずの蒼が、急に目の前に来た。
肩には自分の分と、笑美さんの分も持ってて…またモヤモヤして。
バッと抱きかかえるようにして、荷物を取り返した。
「……っ、いい!
自分で持てるから」
「なんだよ、持ってやるって」
「いいってば」
「じゃあもっと早く歩けよ。
置いてかれるぞ」
「……置いてかれた方が、マシ…」
笑美さんが、蒼の腕に抱きつきながら歩いてるの見るくらいなら。
……いない方がマシだ。



