「え…あの、クマくん?」


「さ、行こうか」


「ま、待って…」



蒼のこと、放っていくの?


……友達、だったのに…?


でもだからって、話したら?とか、そんなこと言える空気じゃない…。


黙ってクマくんについていくと、


後ろからぐいっと腕を引っ張られた。



「……!
蒼…」


「クマ」


「……なに」


「……今日だけは、柚を俺にちょうだい」



蒼の言葉に、


クマくんがフッと笑って…。




「やるわけねぇだろ、クズ」



あの優しいクマくんから出たとは思えないくらい、低いトーンと乱暴な言葉がこだました。