好きになってはいけません。




好きでもない女に、そんなことできる?



「できるよ」


「……嘘、強がりでしょ!?」


「できる」



蒼の瞳が揺れる。


視線が、一気に熱を帯びる。



「あお…い…?」



蒼が顔を傾けて、私の首筋へと近付いた……瞬間。




「……柚?」



聞こえた声に驚いたかと思うと、蒼はサッと離れた。



「クマくん!」


「どうしたの、こんなとこ、で…」



部活帰りのクマくんが偶然通りかかって、


隣にいた蒼と顔をあわせると、


突然私の腕を掴んで引っ張った。



「え…クマくんどうし…」


「柚、送るよ」


「え…」



クマくんが私に笑顔を向けると、ぐいっと私の肩を抱いた。