好きになってはいけません。



「ま、待って蒼…!
私お金…!」


「柚の分も払ったから大丈夫」


「じゃあ蒼にお金払う…!」


「いい。
お前は俺の彼女なんだから」



またそれ!



「彼女じゃないってば!」


「じゃあクマに言っていいわけ?」


「それは…」


「他の男とキスして、
気持ちよくなりましたってさ」


「……な!?
嘘言わないでよ!!」


「嘘じゃねーだろ」



店を出て、外の冷たい空気が頰を撫でる。


その冷たさを消すように、蒼の手が私の頰に触れた。



「どんな顔してたか、
もう一回教えてやろうか?」


「……はぁ!?」


「えっろい顔、撮って教えてやるよ」



携帯を構えて、ニヤ、と笑う蒼。



……その蒼を見ながら、ぐっと唇を噛んだ。