それは蒼が勝手に言っただけで、私は了解してないけど!?
「違うし!
だいたい、蒼には彼女いるでしょ?」
「は?」
「この間の、喫茶店の人」
腰にまわっていた蒼の手を退けると、
蒼がじっと私の顔を見ていた。
「……なに!?」
「あんなことあった後で、
まだアイツを彼女にしてると思う?」
まだって。
じゃあ、あの件があるまでは彼女だったんだ?
「ふーん」
「なんだよ」
「フリーになったからテキトーに女漁りしてるの?」
ジロ、と睨むと、
蒼は頭を掻きながら顔を逸らした。
「……テキトーなんかじゃねぇよ」
「…なに?」
あまりに小さい声だったから耳を寄せたら、
ガブ、と耳を甘噛みされた。



