「……忘れられないとかじゃないよ」
今はとっくに
吹っ切れてる。
「あの隣にいる女子、昨日と違う人だなぁって。
すごいよね、毎日違う女の人といるんだよ」
「うん」
「蒼はきっと、そういうヤツだったんだ。
何も、感じないよ」
中学まで、ずっと一緒で。
幼なじみとして、ずっと隣にいた。
その時は、蒼がそんなやつだなんて知らなかった。
恋は盲目っていうのかな。嫌な部分なんてなかった。
でも、今は目の前にいる蒼が……嫌い。
「電車来たよ」
隣のクマくんの声で、電車が蒼に向けていた視線を遮った。
……その、直前の一瞬。
蒼がふと、こっちに視線を向けた…気がした。