「……なに怒ってんだよ」


「怒るよ!
中学のとき、蒼の方から話さなくなったくせに、今普通に話してくるし…
私のこと、『程度の低い人間』って思ってるんでしょ?
緊張で胃が痛くなるとか、情けないと思ってる…」


「思ってねーよ」



呆れたようにはぁ、とため息をついて、蒼は頭を掻いた。



「あの時、程度の低いとか言って悪かった。
あの女をいち早く店から追い出すには、咄嗟に思いついたのがそれしかなくて…」


「……え…」


「あの後、喫茶店の店員さんにはきちんと謝って…弁償した。
それしか思いつかなくて、酷いこと言ってすいませんって」


「………」


「柚にも、謝ろうとしたのに…完全に怒ってるから、弁解出来なくて」



『ごめん』と頭を下げる蒼。


……やだ、やめてよ。