じっと西条さんのことを見つめてしまうと、
西条さんが私の視線に気付いてニコッと笑って。
「次は、そっちの子。自己紹介してよ」
西条さんが私の方を見ながらそう言ったので、仕方ないなと思って立ち上がった。
「笠木柚です…よろしくお願いします」
よろしくしたいわけでもないけど…。
ペコ、と頭を下げた時、うっと気持ち悪い感覚。
やばい…吐きそう。
自己紹介直後に『すいませんちょっとトイレ…!』と伝えて、部屋を出ようとしたら。
「すいません、遅れました」
私が開ける前にドアが開き、
聞き覚えのある声が耳に届いて。
その時、驚きのせいか吐き気がすっと引っ込んだ。
「蒼、遅かったな」
「あー…ちょっとモメて…」
目の前に現れた人をじっと見つめてしまう。
それによって相手も気付いて、
バチっと目があった。



