「なに怒ってんだよ」
「怒ってないですー」
「怒ってるじゃん」
蒼と付き合ってから、
学校から帰ると蒼がベランダから私の部屋に来るのが日課になっている。
いつもは嬉しいけど、
今日の私のご機嫌はナナメだ。
「ゆーず」
私の気も知らない蒼は、機嫌良さそうに私の名前を呼んで、鼻をぎゅっとつまんできた。
「痛いな!」
「いつまでも怒ってるからじゃん」
「……蒼のバカ!」
三角座りをして、む、と唇を尖らせると
蒼がそこにちゅっとキスを落とした。
「……なに」
「これでも機嫌なおんねーの?
俺なんかした?
……まさか、キスが嫌?」
不安そうに、上目遣いでこっちを見てくる蒼。