ずるいよ。


自分は、他に好きな人がいるくせに


自分のこと好きかなんて、聞かないでよ…。



「…………すき」


「柚」


「……」


「もう一回言って」



蒼の、優しい声が聞こえる。


さっき別れた時は、すごく冷たい声だったのに…


幻聴じゃないかっていうくらい、優しい声。


だから…逆らえない。



「蒼のことが……す──…ん…っ」



『好き』って言い終わる前に、


蒼に唇を塞がれた。


今度は、触れるだけじゃない。


あの、痺れるような…甘いキス。



「あお…い…?」


「柚……かわいい」


「!?」



え、ちょ、どなた!!?