「……」



帰ってから、ずっとモヤモヤして


ご飯もあんまり喉を通らなかった。


お風呂に入ってる今も、


いつでも洗い流せるから…また涙が出そう。



のぼせないうちに、ゴシ、と目を擦って、お風呂からあがった。







頭にタオルを巻いてパジャマ姿で部屋に戻ると


コン、コン、と何かがぶつかる音が窓の方から聞こえた。


……なに?



閉めていたカーテンを開けると、


向かいの家の明かりが、彼を照らしていた。



「柚」



どこか必死そうな顔をした蒼が、自分の家のベランダから私の家のベランダに飛び移った。



「…蒼…っ」



前もベランダから来たことがあったけど…



「危ないよ…!」



思わず窓を開けて蒼の肩を掴んでしまった。


……しまった。


軽々しく触れたら、ダメだ。


“幼なじみ”、なんだから…。