玄関の扉を閉めた瞬間、その場にへたり込んだ。
「……クソ…っ」
柚の言葉を思い出して、頭をぐしゃと掻いた。
『他の女の子と…っ、同じ扱いしてほしい…っ』
そんなこと、出来るはずない。
だって柚は…小さい時から…
俺が恋をしてる相手だから。
本当は、俺の気持ちを伝えたかった。
でも……1ヶ月前のことを思い出して、ぐ、と歯を食いしばった。
海から帰ったあの日。
クマと柚がなんの話をするのか、気になって仕方なかった。
誰もいないのに、俺の部屋から柚の部屋をずっと見てた。
しばらくして、柚の部屋に柚とクマが入ってきて
心臓が嫌な音をたてて、これ以上見るな、って、自分に言い聞かせていた。