「じゃあね、柚」


「ばいばい」



私がおりる駅に着いて、


私より1つ先の駅でおりる芽依に手を振って電車をおりた。



暗くならないようにずっと話してくれていた芽依がいなくなって、寂しい…。



俯きながら家までの道のりを歩いていると、


家の前に、見覚えのある人影があった。




「柚」



その人の低い声が、私の名前を呼んだ。



「……蒼…」



え……


なんで、私の家の前に…?



「これ、お前のタオルだろ?
うちに置いてあった」



蒼が差し出したタオルは、たしかに私のもの。


……昨日、汗拭いてそのまま置いてっちゃったんだ…。


それを届けるために、わざわざ待ってた?


いつでも来れる距離なのに。